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【FX事始め(下)】「兼業型」のディーラーは自重したい高レバ(今晶氏)(09/1/8)

今晶氏

外国為替証拠金取引(FX)において、かけ方次第では毒にも薬にもなるレバレッジ(高い負債倍率での運用手法)。実は各人の投資環境によってもリスクにだいぶ濃淡が生じます。証拠金額とレバレッジ比率のバランス調整に公式はありません。

 例えば、普段は別の仕事をしているためにFX取引に割ける時間が少ないといった「兼業型」のディーラーは通常、高レバの持ち高形成は自重すべきでしょう。もしどうしても取り組みたいとお考えの場合、追い風が吹こうが吹くまいが取引に集中可能な間に手仕舞いする覚悟で臨んでください。

「最終的に見通し当たれば」は通用せず

 加えて投資信託などを通じた長めのスタンスでの運用経験を持ち、日々の相場動向には鈍感になりがちな参加者も要注意です。安易にレバレッジ併用の資産残高を積み増すと「見通しが最終的に当たればいい」との長期投資の理屈が通用しないのです。逆風拡大となれば元本は容赦なく棄損します。

 こう書くと「指し値で損失確定(損切り、ロスカット)の注文を置けばリスク回避が可能じゃないか」と反論されるかもしれません。確かに平時なら十分に有効です。しかし市場の混乱時にはよく需給が崩れてしまい、指定した値段で売り買いが成立するとは限りません。予想よりも不利な価格での損切りを余儀なくされたり、そのまま退場処分を食ったりするケースがしばしば見られます。

 また、ロスカットは想定値が既存の持ち高の平均コストに近過ぎると逆効果です。外国為替に限らず金融商品の相場には振幅がつきもの。通貨ごとに変動率(ボラティリティー)の傾向は違いますが、一定の「のりしろ」を設定しておかないと損切りを繰り返すばかりで結局、収益機会を失うことになりかねません。このあたりはリスクや資金力との兼ね合いで微妙な判断が求められましょう。

 腰を据えて利息収入を得ようとするのならむしろ原点に返り、外貨預金や債券投資などに傾斜したほうが得策ともいえます。

取引会社選び、システムの安定性にも目配りを

 一方、チャート重視派ではコンピューター・プログラムで自動売買を繰り返すスタンスをとることが増えているようです。これだと「ヒューマン・エラー」が少ない分、数十倍―100倍単位の高負債倍率での取引もてきぱきとこなせる公算が大きいと思います。それでも荒れ相場でのロスカット・リスクは消えません。コンピューターの機械的故障やプログラムの不具合といった別の問題が生まれる可能性も念頭に置いたほうがよさそうです。

 余裕があればFX各社のオンライン・システムの安定性にも目配りしてください。使い勝手の良さだけにとらわれてはいけません。レバレッジ傾斜型で投機色が濃ければ濃いほどちょっとした障害や対応の遅れが取り返しのつかない事態を引き起こします。

 2007―08年の金融危機の局面でパニックが強まった際、一部のシステムが過大な負荷に耐え切れず不安定になり、混乱を助長したことを覚えている人も多いでしょう。

 防衛策は取引会社の分散。ソフトウェアのバージョンアップやサーバーの増強、メンテナンスをこまめに実施して万全を期そうと努力している企業の中から選ぶのです。基本部分にきちんとお金をかけられるところは、財務基盤や顧客の資産管理の体制もそれなりに強固だと考えられます。

今晶(こん・あきら)氏

 エフエックス・ストーリー・ドットコム代表取締役。1992年北海道大学(法学部)卒業。北陸銀行に入行後、モスクワ大学への留学などを経て95年(9月)より為替資金や外債担当ディーラー。2001年(4月)に日経QUICKニュース社の記者に転身、06年(9月)には外国為替の情報会社グローバルインフォの設立にかかわる。08年にライターとして独立。

  

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